老後資金の不安や「新NISA」の報道などから、「投資」を考えている方も多いのではないでしょうか?投資をするにあたっての基礎として、「長期投資」「分散投資」「積立投資」があります。今回は、「長期投資」について、できるだけ分かりやすく説明させていただきます。
金利を味方につける➀
相対性理論で有名なノーベル賞受賞者であるアインシュタイン博士は、『「複利」は人類最大の発明である』と言っています。「複利」というのは、利子に利子が付くことです。年利3%の単利であれば、100万円が1年後に103万円、2年後に106万円になります。年利3%の複利の場合は、100万円が1年後に103万円、2年後に106万900円です。
30歳から60歳までの30年間、毎月3万円を積み立てて、複利で運用したとします。年利0%(いわゆるタンス預金)の場合、30年後に1,080万円になります。年利6%で運用した場合は、3,013万5,000円になります。年利3%の場合で、1,748万2,000円です。大手銀行の定期預金の現在の金利と同じ0.002%で計算してみると、30年後は1,080万3,000円です。30年後にタンス預金(年利0%)と比べて3,000円しか増えていません。
金利を味方につける②
複利での運用の話をする時に「72÷金利(%)=元本が2倍になる年数」という法則があります。
100万円を3%で運用すると、
72÷3(%)=24年ですので、
24年間で2倍の200万円
になります。
100万円を6%で運用すると、
72÷6(%)=12年ですので、
12年間で2倍の200万円
になります。
100万円を9%で運用すると、
72÷9(%)=8年ですので、
8年間で2倍の200万円
になります。
それでは、大手銀行の定期預金の現在の金利と同じ0.002%の場合は、どうなりますでしょうか?
100万円を0.002%で運用すると、
72÷0.002(%)=36,000年
ですので、
36,000年間で2倍の200万円
になります。
36,000年って凄くないですか?
インフレ
インフレとはインフレーション(Inflation)の略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が上がることをいいます。物の値段が上がることは、言い換えると「お金の価値が下がる」ことです。
例えば、それまで100円で買えていた缶コーヒーが2倍の200円になったら、同じ缶コーヒーを購入するために、2倍のお金が必要になるわけですので、お金の価値は半分になったことになります。
物価の前年比上昇率が1%の場合、30年後の100万円の価値は741,923円になります。物価の前年比上昇率が2%の場合、30年後の100万円の価値は552,071円になります。運用しないと、お金が増えないどころか、目減りしていってしまうということです。
時間を味方につける
60歳になるまでに1,000万円を貯める場合、年利3%の複利で運用すると毎月いくら必要でしょうか?30歳の人であれば17,200円、40歳の人であれば30,500円,50歳の人であれば71,600円となります。早くはじめれば時間を味方につけられて有利なことが分かります。
そうなると、年配の方は残念に思うかもしれませんが、65歳になるまでに1,000万円を貯める場合を計算してみました。年利6%の複利で運用すると毎月いくら必要でしょうか?45歳の人であれば21,600円、50歳の人であれば34,400円,55歳の人であれば61,000円となります。だいぶ現実味が出て来ませんか?
ここで、「年利が3%から6%に倍になっているじゃないか」と言われるかもしれませんが、この年利6%という数字は決して無謀な数字ではありません。
「S&P500」というアメリカの株価指数があります。市場規模、流動性、業種等を勘案して選ばれたニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場および登録されている約500銘柄を時価総額で加重平均し指数化したものです。株価指数という意味では、日本の日経平均をイメージしていただければいいかと思います。
この「S&P500」は、過去30年の平均で年利9.89%、50年の平均でも年利9.73%で推移しています。6%という数字が決して無謀ではないと、お分かりいただけるのではないでしょうか?
投資期間別年率リターン
長期投資の重要性が分かる有名なお話をもう1つさせていただきます。前出の「S&P500」ですが、1988年から2016年までの28年間の年率リターンを見た時に、投資期間が1年だった時は、投資実績が良くてプラス60.7%、悪くてマイナス48.7%、5年間だと良くてプラス29.2、悪くてマイナス8.6%、10年間だと良くてプラス19.0%、悪くてマイナス3.6%、15年間だと良くてプラス11.3%、悪くてもプラス1.7%というものです。
「投資期間が15年以上ならば、投資実績がマイナスにならない」という話です。
まとめ
いかがだったでしょうか?「複利」の威力、資産運用しないことのリスク、時間を味方につける必要性など、今後のみなさんの投資活動に向けて、お役に立てれば幸いです。
以上、「長期投資が重要である理由」のお話でした。
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