終の棲家になるかもしれない高齢者施設

ライフプランニングと資金計画

 私の父は今、介護老人福祉施設に入居しています。この施設は入居期限があるので、住み続けることはできません。2019年の厚生労働省「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割」によると、高齢者向け住まいに入居している人は272万人あまりです。

 80歳以上の人口が713万人なので少なくありません。しかも、7年前は194万人なので40%も増えています。私のように親のことで高齢者施設に関わる人はいますが、自分の老後で高齢者施設への入居をイメージしている人は少ないと思います。

 親のことはもちろんですが、自分のことについても、元気なうちにこそ「高齢者施設」のことを検討して、探しておくことが肝要です。そうすれば納得して選べます。

様々な種類がある高齢者施設

 高齢者施設には様々な種類があり、利用できる条件や目的による違いもあります。料金もピンキリです。高齢者施設は「公共型」と「民間型」に大きく分けることができます。

公共型

 「特別養護老人ホーム」「介護老人福祉施設」「介護医療院」は、介護認定を受けた要介護者でなければ入居することができません。

特別養護老人ホーム

 最も一般的な施設で「特養」とも言われます。月額の費用が安いのが特徴で、終の棲家とすることが可能な施設としては最も利用が多いですが、入居の条件は要介護3以上です。地域によっては待機者が多くて入居するまでに時間がかかります。

介護老人福祉施設

 利用者が一番多い高齢者施設です。「老健」とも言われ、病状の安定した人が看護や医学的管理の下で介護、機能訓練などを受けて自宅復帰を目指す施設です。原則として3~6ヶ月しか入居できません。一般的に特養よりも月額利用料が高いです。

 入居期限の実態については、入居の期限が来ると別の施設に住み替えたり、一時的に入院したりして、自宅に帰らずに長期間入所している人も少なくありません。

介護療養型医療施設(介護医療院)

 介護療養型医療施設は2024年3月までに廃止になり、その後継施設として「介護医療院」が創設されました。介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を必要とする人のための施設です。高齢者施設の中では最も入居者が少ないです。

その他

 「軽費老人ホーム」は60歳以上で、自立して生活するには不安がある身寄りのない人や家族の援助を受けることが困難な人向けの施設です。

 「公営高齢者向け賃貸住宅」は自治体などの公的な高齢者向けの住宅です。介護の必要がない自立型の高齢者施設です。

民間型

 「住宅型」や「サ高住」の介護は外部のサービスを利用するので、重度の認知症や看取りは対応しない場合が多いです。また、入居後の身体の状態次第で退去になる可能性もあります。思わず長生きをして資金が足らなくなって退去しなければならなくなることも考えられますので慎重に考えてください。

介護付き有料老人ホーム 

 入居する老人ホームが介護サービスを提供しているタイプです。介護職員がいて手厚い介護が受けられます。有料老人ホームは、特養と比べると費用が高くなります。入居時に高額な一時金が必要な施設もあります。

住宅型有料老人ホーム

 介護が必要になった時に外部のサービスを別途に利用することになるタイプです。多くの場合は同じ敷地内に系列の事業者が入っているので必要に応じた介護サービスが受けられますが確認が必要です。

サービス付高齢者向け住宅(サ高住)

 こちらも介護サービスを外部に依頼するタイプですが「賃貸住宅」であることが特徴です。有料老人ホームよりも入りやすくて退去もしやすいです。基本的なサービスは安否確認と生活相談のみです。介護サービスやサポートについては施設毎に違うので注意が必要です。

高齢者施設の選び方

 高齢者施設は目的と必要なサービスで選びます。必ず見学して入居者や職員の話を聞いて雰囲気を見てください。できれば体験入居やショートステイをして確認したいです。

費用

 自分や家族が求める施設を探しながら、必要な予算を考えなければなりません。予想以上に長生きしてしまった場合も想定した資金計画が必要です。

サービスの範囲

 施設毎にサービスの内容が違うので、求めるサービスの内容が合致するかの確認が必要です。「認知症」や「看取り」「医療」の対応の確認も必要です。

職員の配置

 サービスの内容に対する職員の配置を確認して、看護師や介護士の職員数の確認をします。見学時に不衛生な所があるようであれば、人手不足で手が回っていない可能性があります。

施設毎のルールなど

 食事の内容やお酒やタバコのルールなどの生活上の基本的な内容の確認も重要です。

施設見学のポイント

 入居者と直接話をしましょう。職員が入居者との話を嫌がるようだと怪しいです。

●目的や条件にあった介護ができているか
●ホーム全体の雰囲気は明るいか(入居者の表情)
●トイレや廊下が清潔か
●職員のあいさつや対応は、しっかりしていて明るいか
●食事の介助は丁寧か

まとめ

 だいぶイメージはつきましたでしょうか?病気や介護状態になっても安心して暮らせる高齢者施設についてアンテナを張っておきましょう。

以上、「終の棲家になるかもしれない高齢者施設」のお話でした。

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