投資をはじめようとしている方に是非、押さえておいていただきたい投資の基礎があります。「長期投資」「分散投資」「積立投資」の3点です。今回は、「分散投資」について、分かりやすく説明させていただきます。
分散投資とは
分散投資は、投資先や購入する時期を分散させることで、価格の変動を抑え、安定したリターンを狙う投資方法です。
イギリスに「一つの籠に全ての卵を盛るな。(Don’t put all your eggs in one basket.)」という格言があります。籠を落としてしまった時に、一つの籠に全ての卵を入れていたら卵は全滅してしまいますが、複数に分けて入れておけば、被害を少なくできるという意味ですね。
分散投資も同じ考え方です。投資先を分散させておくことで、仮にどこかひとつの投資結果が悪くなってしまったとしても、そのほかの投資先でマイナス分をカバーすることができます。
3種類の分散投資
分散投資には、「資産(銘柄)の分散」「地域の分散」「時間(時期)の分散」の3つがあります。
資産(銘柄)を分散する分散投資
ひとつの会社(銘柄)に絞って投資するのではなく、複数の会社(銘柄)に分散して投資をする。さらには企業への株式投資だけでなく、債券や不動産、その他の金融商品などへも資産を分散させる投資方法です。
投資対象となる資産や、株式等の銘柄には様々なものがありますが、それぞれの資産・銘柄は、常に同じ値動きをするわけではありません。例えば、一般的に、株式と債券とでは、経済の動向等に応じて異なる値動きをすることが多い(例えば株式が値上がりするときには債権が値下がりする等)と言われています。
こうした資産や銘柄の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせて投資を行うのが「資産・銘柄の分散」の手法です。こうした手法を取り入れることで、例えば特定の資産や銘柄が値下がりした場合には、他の資産や銘柄の値上がりでカバーする、といったように、保有している資産・銘柄の間で生じる価格変動のリスク等を軽減する効果が期待できます。
インデックス型の投資信託は、「日経平均」や「S&P500」などの指数(=インデックス)の値動きに連動を目指すもので、その市場を構成する複数の銘柄に広範な分散投資ができます。
地域を分散する分散投資
投資先となる企業や金融商品などが発行されている地域を、日本国内だけでなく、海外にも分けるという投資方法です。
国内と国外、あるいは先進国と新興国のように、異なる国・地域の資産・通貨を組み合わせて投資を行うことで、例えばある地域の経済状況の変化等によって、保有している資産・銘柄が値下がりした場合でも、他の地域の資産や銘柄の値上がりでカバーするなど、保有している資産・銘柄の間で生じる価格変動のリスク等を軽減する効果が期待できます。
時間(時期)を分散する分散投資
投資をする時に一度に全資産を投資してしまうのではなく、資産を分けて時間差で投資する方法です。毎月こつこつと積立で投資をしていく方法は、少額から運用をスタートできて、マーケットの動きに過敏にならずに投資を続けられるなど、初心者におすすめの投資です。
分散投資する金融商品の種類
投資にあまり慣れ親しんでいない方にとって分散投資することは、投資失敗のリスクを軽減(分散)することが期待できるというお話をしました。その分散投資先の金融商品の種類について解説致します。
預金・保険
投資のイメージとは違うと思われるかも知れませんが、資産を預金として金融機関に預ける、または保険商品を活用するという手段も運用の一種類となります。
債権
債権は、国や地方公共団体そして企業などが事業遂行のための必要な資金を借り入れるために発行する有価証券つまり借用証書のようなものです。債券の特徴は、満期(償還日)になれば投資をした資金が戻ってくる上に、定期的に利息を得ることができることです。
しかし、万が一債券発行者が破たんしてしまうとあらかじめ約束されていた利息や投資した資金が期日までに支払われないというリスクもあります。更に満期(償還日)までに売却する場合は、債券の値段が変動するので注意が必要です。
不動産
不動産への投資には、自身で土地や建物を購入し、賃貸運営することで利益を得るなどの一般的な不動産投資の他に、REIT(不動産投資信託)があります。投資家は、不動産投資法人を通じて間接的に不動産へ投資をする方法で、少額からでも投資が可能です。
そして複数の投資家が不動産の所有権や共有持分などを小口に分けて購入する不動産小口化商品といったものもあります。不動産運用で得られる収益や売却時の売却益を投資家の出資額(口数)に応じて分配します。
株式
株式とは企業の資金調達方法のひとつです。投資家から資金を集める代わりに有価証券(株式)を発行し、投資家に所有してもらいます。つまり投資家は「株主」になるわけです。株主になると、企業の業績が良い場合などは配当金を受け取れることもあります。
また企業によっては、何かと話題の株主優待があったりもします。もちろん株主総会で議決権行使(議案に対する意思決定をする)をすることも出来ます。もし企業価値が高まれば所有する株式の価値も高まり、反対の場合は株式の価値が下がってしまうリスクもあります。
投資信託
投資信託は「ファンド」とも呼ばれています。多くの投資家(皆さん)から集めた資金を運用の専門家が株式や債券などに投資をして、その運用成果を投資額(口数)に応じて投資家へ分配する仕組みの金融商品です。
様々な種類の投資信託がありますが、運用方法の違いで大きく「パッシブ運用」と「アクティブ運用」に分かれます。「パッシブ運用」の代表的な例として「インデックス運用」があり、初心者におすすめです。
商品先物取引・FX取引・信用取引
ハイリスクハイリターンの商品です。手持ち資金の数倍~数十倍の借金をして投資するもので、レバレッジ(てこの原理)を効かせる投資です。手を出さないことをおすすめします。
まとめ
「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は、国民から集めた年金積立金を管理・運用する機関です。運用資産約220兆円(2023年)で世界最大の機関投資家です。きっちり分散投資していますね。
以上、「分散投資が重要である理由」のお話でした。
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