あなたの老後資金は大丈夫か?

ライフプランニングと資金計画

 多くの人は50歳前後になると老後資金のことが気になり始めるようです。そうは言っても日々の生活に追われて、あまり真剣に考える人は少ないかもしれません。「まあ、何とかなるんじゃないの」という感じでしょうか?それでも、備えあれば憂い無し。老後資金問題について、できるだけ分かりやすくご説明させていただきます。

老後2,000万円問題の復習

 テレビやネットで見かける「老後2,000万円問題」とは、金融庁の「市場ワーキング・グループ」という金融審議会が2019年6月に公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書がきっかけです。

 その内容の一部が、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万5,000円であり、不足額の総額は単純計算で老後30年間では約2,000万円を貯蓄から取り崩す必要がある」というものでした。

 この金額には、住宅の改修費や車の買い替え、子供の結婚費用やお祝い、医療や介護費用などの支出は含まれていません。これらを加えると不足額はさらに多くなります

平均余命

 平均余命とは、各年齢に達した人たちが、その後平均して何年生きられるかを示した年数です。平均寿命は、0歳時の平均余命のことになります。平均で、今の65歳の男性は85歳まで、女性は90歳まで生きられます。

 年金制度が創設された昭和36年は、平均で、65歳の男性は77歳まで、女性は79歳まで生きられました。今と比べると、男性で8歳女性で11歳、生きられる期間が延びています。

 2016年に出版されたリンダグラットン(英国)の「ライフシフト」は、健康寿命が延びることによって生じる人生の考え方の変化について問題提起した本ですが、1997年生まれの人の半分は101歳まで生きると書かれています(カリフォルニア大学バークレー校「人類死亡データベース」より)。

必要な老後資金の金額

老後の期間

 基本的な年金の支給開始年齢は65歳です。また、2013年、会社に対し「希望者全員」の65歳までの雇用確保が義務化されました。平均で、今の65歳の男性は85歳まで、女性は90歳まで生きられますので、男性の老後は20年間女性の老後は25年間となります。

ゆとりある老後生活費

 生命保険文化センターの「2022年度生活保障に関する調査」によると、「ゆとりある老後生活を送るための費用」は、夫婦2人で月間38万円です。一定の条件をもとに算出した計算上の夫婦2人の年金額は、月間で23万円ですので、毎月の不足額は15万円になります。妻1人の場合は、「ゆとりある老後生活費」が月間26万円で、計算上の年金額は月間13万円ですので、毎月の不足額は13万円になります。
 この不足額の合計は以下のようになります。

◎ゆとりある老後生活に
 不足する額
 (夫婦2人の期間)
  15万円×12ヶ月×20年間
  =3,600万円
 (妻1人の期間)
  13万円×12ヶ月×5年間
  =780万円
  合計4,380万円

老後の最低日常生活費

 同調査による「老後の最低日常生活費」は、夫婦2人で月間23万円です。一定の条件をもとに算出した計算上の夫婦2人の年金額は、月間で23万円ですので、毎月の不足額は0円になります。妻1人の場合は、「最低日常生活費」が月間16万円で、計算上の年金額は月間13万円ですので、毎月の不足額は3万円になります。
 この不足額の合計は以下のようになります。

◎老後の最低日常生活費に
 不足する額
 (夫婦2人の期間)
  0万円×12ヶ月×20年間
  =0万円
 (妻1人の期間)
  3万円×12ヶ月×5年間
  =180万円
  合計180万円

60歳代(2人以上世帯)の金融資産額

 それでは、いったい、みなさんは、老後の資金をどのくらい持っているのでしょうか?60歳代(2人以上世帯)の金融資産額は、平均値で2,427万円、中央値で810万円です。平均値は一部の大金持ちに引っ張られますので、中央値で見るのが実態に近いです。

 貯金の無い世帯が20%弱いる反面、20%強の世帯が3,000万円以上の資産を持っています。資産の無い世帯とある程度余裕のある資産を持っている世帯とが両極で多いという特徴が見て取れます。

老後の資金に関する不安や疑問について、豊富な資料を使って分かりやすく解説しています。

老後資金のイメージ

 あくまでも全て平均値等で見たものですが、何となくイメージは持っていただけたのではないでしょうか?ゆとりのある老後の生活を送るには65歳の時点で4,380万円の貯金が必要なこと。最低限の生活を営んでいくだけならば180万円の貯金で行けそうなこと。

 ゆとりのための上乗せ額の使途は「旅行やレジャー」が最も高く、以下「日常生活費の充実」「趣味や教養」と続いています。

 また、60歳代(2人以上世帯)の金融資産額を見ると約30%の世帯が最低限の老後の生活を営める貯金が無いということになり、ゆとりのある老後の生活が送れる世帯は、多く見ても20%以下であることが分かります。

まとめ

 いかがだったでしょうか?個人差は大きいですが、生活レベル次第で、少なくとも2,000万円は無くても大丈夫そうです。老後までに時間がある人は準備もできるのではないでしょうか?

 以上、「あなたの老後資金は大丈夫か?」のお話でした。

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